建設業許可申請をするとき、実に様々な書類が必要になります。申請書はもちろんのこと、常勤役員等や専任技術者の要件を満たしていることを証明する資料など、膨大な数の書類が必要です。
この記事では、そのような様々な建設業許可申請に必要になる書類をできる限りわかりやすく、また簡潔に解説させていただきます。
建設業許可申請の必要書類
建設業許可申請に必要な書類はとても種類が多いです。そのため、この記事では「必要書類」「常勤役員等や専任技術者などの裏付け資料」「確認資料・添付資料等」の3つのパートに分けて解説していきます。
3つのパートに分けたうちの1つである「必要書類」とは、建設業許可申請においてメインとなる書類のことであって、表題の「必要書類」と意味が異なることをご承知おきください。
また建設業許可申請の必要書類は、自治体によって異なります。この記事では、東京都で新規に許可申請をする場合に必要な書類を紹介しています。そのため、東京都以外で許可申請をされる方は参考程度に止め、詳細は申請する行政庁へお問い合わせください。
必要書類
それでは、まずは「必要書類」から見ていきましょう。
東京都で新規に許可申請をするときは次の書類が必要になります。
建設業許可申請の必要書類
- 建設業許可申請書
- 役員等の一覧表
- 営業所一覧表
- 専任技術者一覧表
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 使用人数
- 誓約書
- 建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表
- 定款
- 財務諸表(法人用と個人用あり)
- 営業の沿革
- 所属建設業者団体
- 健康保険等の加入状況
- 主要取引金融機関名
以上が「必要書類」となります。それでは一つずつどのような書類なのかを簡単に説明していきます。
建設業許可申請書
建設業許可で一番大切な書類です。この書類を提出しないと申請ができないので、しっかりと作成しましょう。
役員等の一覧表
役員等と事業主を記載する書類です。個人事業主が申請する場合でも作成します。
営業所の一覧表
営業所の名称や住所などを記載する書類です。また、従たる営業所がない場合でも作成します。
専任技術者一覧表
専任技術者の氏名や建設工事の種類などを記載します。
工事経歴書
工事の実績を業種別に作成します。また実績のない業種は、1枚にまとめて作成します。
直前3年の各事業年度における工事施行金額
直前3年の工事施工金額を記載します。こちらの書類も実績のない業種についても作成が必要です。
使用人数
本社と支社の使用人の数を記載する書類です。
誓約書
欠格要件に該当しないことを誓約する書類です。欠格要件について詳しく知りたい方は、下の記事をお読みください。
建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
営業所に支配人を置いた場合と従たる営業所がある場合に必要になる書類です。
定款
こちらは法人が申請するときに必要になります。議事録も含まれます。
財務諸表
法人と個人で様式が異なるので注意が必要です。法人の新規設立で決算期が未到来の一般建設業の場合は「開始貸借対照表」を提出します。
個人で新規開業の場合は「残高証明書」を提出します。
また法人・個人を問わず、財務諸表は直前の1期分の提出になります。
営業の沿革
事業を開始した年月日や建設業の登録、許可の状況を記載します。
所属建設業者団体
どこの建設業者団体に所属しているのかを記載する書類です。該当なし(未加入)の場合でも作成します。
健康保険等の加入状況
本社と支店の健康保険等の加入状況を記載します。
主要取引金融機関名
主要な取引先の金融機関名を記載する書類です。
ここまでが3つに分けたパートの一つ目である「必要書類」になります。続いて次のパートの説明にはいります。
常勤役員等や専任技術者などの裏付け資料
常勤役員等や専任技術者などの裏付け資料を見ていきましょう。
常勤役員等や専任技術者などは要件が細かく定められています。いまからご紹介するのは、それらの要件を満たしているのかを確認する書類です。
※常勤役員等(経営業務の管理責任者)や専任技術者の要件について詳しく知りたい方は、下の記事をおよみください。
常勤役員等や専任技術者などの裏付け資料は次のとおりです。
常勤役員等や専任技術者などの裏付け資料
- 常勤役員等証明書
- 常勤役員等および当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
- 常勤役員等の略歴書
- 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
- 専任技術者証明書
- 技術者要件を証明する書類
- 実務経験証明書
- 指導監督的実務経験証明書
- 許可申請者の住所・生年月日等に関する調書
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所・生年月日等に関する調書
- 株主調書
- 登記事項証明書
- 事業税の納税証明書
では一つずつ簡単に説明していきます。
常勤役員等証明書
常勤役員等の証明書を作成します。証明する常勤役員ごとに作成する必要があります。
常勤役員等および当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
常勤役員等を直接に補佐する者がいる場合は、こちらの証明書を作成します。
常勤役員等の略歴書
常勤役員等の経歴を記載する書類です。
常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
常勤役員等を直接に補佐する者がいる場合のみ作成する書類です。直接に補佐する者の経歴を記載します。
専任技術者証明書
専任技術者の氏名や何の資格を有しているのかなどを記載する書類です。
技術者要件を証明する書類
修業・卒業証明書の場合は発行後3ヶ月以内のもので、原本を提出します。
資格認定証・監理技術者証の場合はその写しの原本を提出します。
実務経験証明書
実務経験により専任技術者になる場合に必要な書類です。技術者要件の証明に必要な場合は、証明者ごとに作成します。
指導監督的実務経験証明書
こちらは特定申請の場合のみ必要な書類です。また監理技術者証で証明する場合は不要です。
許可申請者の住所・生年月日等に関する調書
法人の場合は、役員等(5%以上の個人株主、顧問、相談役等)について作成します。
建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所・生年月日等に関する調書
こちらは支配人登記や従たる営業所を設置したもののみ必要となります。
株主(出資者)調書
法人の場合のみ必要な書類です。株主の氏名や住所、所有株数などを記載します。
また該当者がない場合でも作成することとされています。。
登記事項証明書
発行後3ヶ月以内の登記事項証明書を提出します。
事業税の納税証明書
法人、個人を問わず、事業税の納税証明書を提出します。
確認資料・添付資料等
3つに分けたパートの最後は「確認資料・添付資料等」です。先ほど解説した「常勤役員等や専任技術者などの裏付け資料」以外の要件を満たしていることを確認するための資料です。こちらも建設業許可を受けるうえで、とても大事な書類になるので、しっかりと見ていきましょう。
建設業許可申請に必要な「確認資料・添付資料等」は次の書類になります。
確認資料・添付資料等
- 預金残高証明書または融資証明書
- 発効後3カ月以内の「登記されていないことの証明書」
- 発効後3カ月以内の「身分証明書」
- 常勤役員等の確認資料
- 専任技術者の確認資料
- 建設業法施行令第3条に規定する使用人の確認資料
- 営業所の確認資料
- 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明書
- 主たる営業所の郵便・電話・FAX番号の確認資料
- 法人番号を証明する資料
- 役員等氏名一覧表
以上が「確認資料・添付資料等」になります。また一つずつ説明していきます。
預金残高証明書または融資証明書
こちらの書類は、直前の決算で純資産が500万円未満の場合にのみ必要な書類になります。
発行後3カ月以内の「登記されていないことの証明書」
必要書類である「役員等の一覧表」に記入した法人の役員や本人、建設業法施行令第3条に規定する使用人の「登記されていないことの証明書」を提出します。この書類は法務局で発行してもらいます。
発効後3カ月以内の「身分証明書」
本籍地の各区市町村で発行してもらいます。提出が必要な者は、経営業務の管理責任者、法人の役員、本人、建設業法施行令第3条に規定する使用人です。
常勤役員等の確認資料
常勤役員等と直接補佐者を置く場合に必要な書類です。具体的には、常勤性を確認できる資料、常勤役員等と直接補佐者の地位にあることを示す資料、経営等の経験について確認できる資料です。
専任技術者の確認資料
各営業所に専任技術者を置く場合に必要な書類です。提出するのは、常勤性と専任性を確認できる資料、技術者要件について確認できる資料です。
建設業法施行令第3条に規定する使用人の確認資料
建設業法施行令第3条に規定する使用人を置く場合のみ提出します。
営業所の確認資料
法人は登記事項証明書、個人は商号を登記している場合は登記事項証明書になります。また、営業所の写真なども提出します。
健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明資料
適切な保険に加入していることを確認するための資料を提出します。
主たる営業所の郵便・電話・FAX番号の確認資料
主たる営業所の郵便番号や電話番号などを確認する書類です。
法人番号を証明する資料
法人番号指定通知書の写しや、国税庁法人番号公表サイトで検索された画面のコピーを提示します。
役員等氏名一覧表
必要書類である「役員等の一覧表」とは別の様式になるので、注意しましょう。
まとめ
建設業許可申請の必要書類について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?
建設業許可申請に必要な書類はかなり膨大な数があるため、この記事では簡潔な説明になりましたが、よくわからない書類などがあれば、申請先の行政庁や建設業許可を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。