一口に建設業許可と言っても、実はいくつかの区分があります。その区分を理解しておかないと、建設業許可の申請をするときに、どの区分で申請をするのかが分からず頓挫してしまいます。

では建設業許可はどのように区分されているのでしょうか?

この記事では、建設業許可の区分について解説させていただきます。

建設業の区分

建設業許可は大きく次の2つに区分されます。

  1. 大臣許可と知事許可
  2. 特定許可と一般許可

また①と②の組み合わせで全部で4つに区分されています。

建設業の区分

  • 大臣特定許可
  • 大臣一般許可
  • 知事特定許可
  • 知事一般許可

では上記の4つはどのような区分なのでしょうか? それを理解するには最初に説明した大きな2つの区分である「大臣許可と知事許可」の違い、「特定許可と一般許可」の違いを知る必要があります。

それでは、まずは大臣許可と知事許可の違いから見ていきましょう。

建設業許可の区分① 大臣許可と知事許可

建設業許可の区分である大臣許可と知事許可の違いは、営業所の数とその営業所がどこに設置されているのかで区分されます。

営業所が1つの場合は必ず知事許可になります。

しかし営業所が2つ以上ある場合は、知事許可か大臣許可のどちらかになります。この場合、どちらになるのかは2以上の営業所が同一都道府県内にあるのか複数の都道府県にあるのかで判断することになります。

例えば、2以上の営業所がすべて東京都内にある場合は知事許可、2以上の営業所の1つが東京都にあり、残りの営業所が埼玉県にある場合は大臣許可になるということです。

また建設業許可でいう「営業所」はその場所で契約を締結するかどうかで判断します。社内では「営業所」と呼ばれていても、実際は休憩施設だったり詰所として使用している場所は「営業所」にはならないことに注意が必要です。

建設業許可の区分② 特定許可と一般許可

次に特定許可と一般許可の違いについて説明します。

まずは特定許可から見ていきます。特定許可が必要になるのは次の通りです。

特定許可が必要な場合

  • 元請となる建設工事であること
  • 下請契約をする場合があること
  • 一件の建設工事につき、すべての下請契約の下請代金の合計金額が4,000万円以上になる場合があること (※建築一式工事の場合は6,000万円以上)

上記の項目にすべてにあてはまるときは特定許可が必要になります。

逆に一般許可が必要になるのは、上記の項目に一つでもあてはまらない項目があるときです。(※前提として500万円以上の工事を請負う場合です。また建築一式工事は1,500万円以上の工事・木造住宅で延べ面積が150㎡以上の工事となります)

特定許可と一般許可の注意点

ここまでで特定許可と一般許可の違いをご理解いただけたと思いますが、ここからは特定許可なのか一般許可なのかを判断するうえで、気をつけなければならない工事請負代金の考え方について説明します。

工事請負代金の考え方

工事請負代金は建設業許可が必要なのかどうかを判断するためにも、重要な事項といえます。なぜなら建設業許可が必要になるのは500万円以上の工事請負代金のときだからです。(※建築一式工事の場合は1,500万円以上の工事・木造住宅で延べ面積が150㎡以上の工事)

ではその工事請負代金の考え方ですが、次のように考えます。

工事請負代金の考え方

  • 工事請負代金が分割されているときは、合算して一つの工事と考えること
  • 注文者が材料を提供するときは、そのコストを工事請負代金に加えること
  • 機械器具なども工事請負代金に加えること

上記の事項を考慮して工事請負代金を見たときに、500万円以上にならないかしっかりと判断をするようにしましょう。(※建築一式工事の場合も同様)

特定許可の工事請負代金の考え方

特定許可の工事請負代金の考え方は、次の通りです。

特定許可の工事請負代金の考え方

  • 複数の下請業者に工事を出すときは合算して計算すること
  • 注文者や元請業者が材料を提供する場合は、その額は下請金額に含まないこと

特定許可の場合、下請代金が特定許可になるのかどうかの判断基準の一つとなります。上記2点を考慮して下請代金が基準値を超えるのかどうかをしっかりと判断するようにしましょう。

特定許可と一般許可は同時に受けられるのか?

特定許可と一般許可の違いは理解されたと思いますので、最後に特定許可と一般許可は同時に受けられるのかについて解説します。

特定許可と一般許可を同時に受けられるのかは業種ごとに判断することになります。ちなみに業種とは建設業許可が必要になる29業種のことです。

まず同一の業種で特定許可と一般許可を同時に受けることはできません。これは営業所が異なっている場合も同様です。一方、業種が異なれば特定許可と一般許可を同時に受けることはできます。

例えば、大工工事で特定許可を受けている場合、大工工事の一般許可は受けることはできません。しかし新規で大工工事と左官工事を申請するとき、大工工事を特定許可、左官工事を一般許可とすることはできます。

特定許可と一般許可が同時に受けられるのかは業種ごとに判断するようにしましょう。

まとめ

建設業許可の区分について解説させていただきました。疑問は解消されたでしょうか?

建設業許可の区分は「大臣許可と知事許可」「特定許可と一般許可」の2つに大きく区分されること、またそれぞれの違いなどもご理解いただけたかと思います。

またこの記事に書かれていること以外に、建設業許可の区分について疑問等がありましたら、管轄の行政庁や建設業許可を専門にしている行政書士に相談することをおすすめします。